井戸チャ通信(04)から(06) 「無断リンク」
井戸チャ通信(04) 「公的機関による無断リンクの禁止について」
井戸チャ通信(05) 「個人サイト間における無断リンクについて」
井戸チャ通信(06) 「コミュニケーションという観点から無断リンク論を再構成する」
井戸チャ通信(07) 「われら、想定問答集に回答す」
井戸チャ通信(08) 「無断リンク問題にみるWeb観の差異」
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続・「無断リンク禁止/直リンク禁止」命令に関する想定問答集
http://park5.wakwak.com/~tanaka02b/column/faq2.htm

セミマル
Q.26 から Q.30 は今だったら、ミクシィを使うということになりそうだね。

香陸
それも微妙だと僕は思うのさ。

セミマル
その心は?

香陸
たしかにミクシィのようなサービスを使うと当面の問題は解消できるかもしれないけれど、それは、その人がウェブでやりたかったことからずれてしまうところもあると思うんだよ。

セミマル
ウェブでやりたかったこと、というと?

香陸
ちょっと言い方が悪かったかもしれないけれど、情報を自由にやりとりするためにリンクを自由に張るのは当然の正義なのだから、それがいやならミクシィとかそういうサービスがあるからそっちでやりなさい、という具合に、まあ、おおまかにここでは言っているわけでしょう。

セミマル
そういうことになるね。棲み分けすればいいじゃない、というスタンスだね。

香陸
つまり、これは原則的水準のWeb観が前提になっていると。

セミマル
なるほど。確かにその通りかもしれない。それが引っかかる?

香陸
そういう前提を共有するのは当たり前じゃないかと言う人も多いと思うのだけれど、僕はそろそろ、原則的水準のWeb観を強硬に保持するという時代でもないのではないかという気がしてます。

香陸
リンクを張られて嫌な気持ちになる人の嫌悪感というのは、そういう技術的な対策で解消しうるものではあるけれど、そもそも、どうしてそういう嫌悪感を抱いているのかということを想像して、事前に対処してあげることのほうが重要になってきているのではないかなと思うのさ。

香陸
嫌な気持ちになっている人に「ここは嫌な気持ちになる人もいる場所だから、それが嫌なら別のところにいけ」というのは、あまり寛容な態度じゃないと思うのだよね。むしろ、逆に煽り耐性を身に付けることこそ「Web」の利用者として一人前みたいな雰囲気すらあるよね。

セミマル
お互い知らんぷりするんじゃなく、対話すべき、ということ?

香陸
いや、片方が対話したがっていないわけだから、対話はしないでもいいのだけれど、知らんぷりしたがっている人に対して、どうして、ちゃんと知らんぷりし返してあげないのかという感じかな。

香陸
いわゆる「儀礼的無関心」の話題はいろいろ面白いのだけど、圏外からのひとこと(現:アンカテ)さんの次の記事は、僕は特に面白かったよ。

http://amrita.s14.xrea.com/d/?date=20031208#p01

香陸
要点は、Web にテキストを上げる人のなかには「自分のテキストのニーズを確定させたくない人」がいるのではないかというところ。そのために、「いまは不特定なのだけれど、潜在的には特定の人」に自分のテキストを見てもらいたいと思っている人がけっこういて、そういう人が、儀礼的無関心と呼ばれるようなマナーを要望する傾向にあるのではないかという見解です。

セミマル
なるほど。

香陸
そういうスタンスの人に「囲いに入っていたら安全だから向こうにどうぞ」と言うのはウェブ強者の理屈であって、やや一方的な言い分になるのではないかと僕は思うわけです。そうした対策をとることで潜在的な出会いが排除されてしまうわけだから。

セミマル
なかなか難しいところだね。

セミマル
↑の文章読んでて思ったんだけど、こういう人たちって簡単に言えば、自分を肯定してほしいってことになるんだろうね。自分をほめてくれる誰かを常に探しているというか。

香陸
それはあるかもしれない。

セミマル
そう考えると、それってスッゴイわがままとも言える気がする。
気持ちはスゴイわかるけども、実際そんなことあるわけないし。

香陸
でも、ウェブってそういうオフラインで思うようにやることのできない人たちの受け皿になっているところもあると僕は思うわけです。

セミマル
それは当然あるだろうね。

香陸
実際、わがままなところはあると思うのだけれど、そこで厳しさを指導するか、その甘さを受容するか、どちらのほうが優しいかということだと、いまのところ、というか、これからの幾年かの日本語圏のウェブでは後者のほうが優しいし、クリエイティブな活動における生産性も高いのではないかなと思うのさ。

セミマル
徐々に前者にシフトしていくべきとも思ってる?

香陸
バランスの問題だと思うけれど、いまはわりと前者が強いなというのが僕の感想としてある。

香陸
それがなぜかというと、原則的水準のWeb観が流布していて、コミュニケーション水準のウェブ観を比較的に拒否する傾向にあるからだというのが僕の見解です。あるいは、コミュニケーション水準のウェブ観に自覚的ではないと言っても良いかもしれない。

香陸
もちろん、コミュニケーション水準のウェブ観が圧倒的になってしまうのには反対なのだけど、なにか問題が生じたときに、倫理的・道徳的側面を排して「嫌なら技術的に解決しろ」という見方を断固としてとるというのは、ちょっとどうかなと思うわけです。

セミマル
そっかー。自分は逆の印象を持ってるなぁ。むしろ、昔より全然甘さを受け容れている印象がある。だんだん、原則的水準で動いてた人たちが、コミュニケーション水準で動いてる人たちに歩み寄ろうとしてる印象を自分は持ってるな。

セミマル
その方法論もやっぱり技術ではあるんだけども、少なくとも、昔ほど突き放した態度じゃない気がするんだけども。昔は、イヤなら使うな、とか、CGI やら htaccess を自分で勉強して自分でなんとかしろ、とか平気で言われてたけど、最近は少し軟化してきてるように感じる。

香陸
たしかに「儀礼的無関心」みたいな話がされるくらいだから、歩み寄りはあると思うのだけど、そういう歩み寄りが行われているのは、こういう話をしている人たちとその周辺だけで、多くのウェブ利用者のヘッドウェアに実装されているのは原則的水準のWeb観だと思うな。

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香陸
想定問答集 をもう少し検討したいのだけれど。

セミマル
うん。

香陸
僕はここにある受け答えに納得できないものが多いし、自分と同じ意見なのだけど腑に落ちないというところもけっこうあるのさ。

セミマル
そうだね。なんというか、相手全否定、自分全肯定みたいな感じだよね。ここにあるテキストって。

香陸
まず、書き方に少し敵意があるし、無断リンクは正しいという結論がもう前提にあるよね。そして、無断リンクが正しいかどうかという評価軸しか考慮していない。しかも、詳細に検討するとところどころ奇妙な説明もあったりして、どうなのかなこれはというところがある。

セミマル
まぁ、一個人が書いたものみたいだし、変なところが多いのは仕方ないのかも。

香陸
ちょっといま、僕らで解答作ってみようか。ずばりの回答でお願いします。

セミマル
え? 全部やんの(笑)

香陸
やるやる、一問一分でいきましょう。


Q1.「無断でリンクするなんて、著作権の侵害だ」

香陸
どうぞ。

セミマルの回答
「侵害では(たぶん)ない」

香陸の回答
「侵害ではありません」


Q2.「自由にリンクをしたいという人もいるが、それを嫌がる人もいる。それらの気持ちは等価であり、どちらが正しいかなど決められるものではない」

セミマル
Q1 終わりかよ!

香陸
終わり終わり(笑)。

セミマル
いいけどさ。

香陸
二問目はどう?

セミマル
等価かどうかは知らないけど、どちらが正しいかは立場によって異なるという点については理解できるってところだろうか。

セミマルの回答
「もうちょっと分かるように言おう」

セミマル
にしとこうか。気持ちが等価の意味が分からない。

香陸
気持ちの強弱とかならまだわかるけれど、気持ちの価値になるとちょっとね。

香陸の回答
「自由なリンクは原則的には問題にならないけれども、リンクをコミュニケーション行為としてみたときには問題を含む場合もあると思います」


Q3.「他人のサイトを誹謗中傷してもよいと言うのか」

香陸の回答
「誹謗中傷はあまり望ましいものではないと思います。もちろん、良いものでもないでしょうし、良いとも言いません」

セミマルの回答
「同上。ただし、誹謗中傷と批判は違うのでその辺には留意すべき」


Q4.「法律的に問題なくても、社会は法律だけで動いているわけではありません。画面の向こうには生きた人間がいるのであり、相手がリンクしないで欲しいと言うのならしないのが社会常識であり、マナーでしょう」

香陸の回答
「僕もそう思います」

セミマルの回答
「社会常識かどうかは知らないが、空気嫁ってことかな」


Q5.「リンクは自由と言う人は、権利があるなら人の嫌がることをしても良いと思っているのですか?」

セミマル
これは…また……。

香陸
これも、なかなか。
嫌悪感には個人差があるだろうから、もしかしたら、良いと思っている人もいるかもしれないね(笑)。

セミマルの回答
「倫理観の問題なので、嫌がることをしても良いと思ってる人もいれば、良くないと思ってる人もいる。そういう人が出会うと不幸なことが起こるから、お互い関わらないようにしたら?」

香陸
個人的に、「リンクは権利」と喝破することにはちょっと違和感があるんだよね。少なくともこの手の無断リンク問題に関しては、権利論的なアプローチはうまくいかないのではないかと僕は思っているのだけれど。

セミマル
どうだろ。そんなこと深く考えたことないや。

香陸の回答
「人が嫌がることはしてはいけないと思うけれど、自意識過剰ということもあるのでお互い歩み寄りましょう」


Q6.「私は知らないところからリンクされたくないんです。それなのに、リンクしてくる人がいるんです。これってひどい嫌がらせだと思います」

セミマルの回答
「知っててやってるなら嫌がらせですね」

香陸の回答
「それは嫌がらせだと思います」


Q7.「権利を振りかざす人間には問題があると思います」

セミマル
これまた、想定問題も回答もまるで噛み合ってない感がある。

香陸
権利とか言い出すとどうもだめだね。

セミマル
回答もなぜか疑問系だね。

香陸
反問で返すのもいただけないよね。

香陸の回答
「人間として困った人かもしれないけれど、権利を主張すること自体はいけないことではないと思います」

セミマルの回答
「お互いコミュニケーション不足が認められます。もうちょっと相手の話を聞いてあげましょう」

セミマル
こんな感じか? なんかエセカウンセラーみたいだ(笑)。

香陸
セミマルっ! 権利を振りかざす人間に問題はあるのないの、きっちりしてっ!

真・セミマルの回答
「お互い問題あり。言うほうも言われるほうも」


Q8.「コンテンツへの直リンクはサイトをないがしろにしており、失礼だ。リンクはトップページにするべきだ」

セミマルの回答
「トップページにリンクしないことが、すなわちサイトをないがしろにしていると見なせるかどうかは、人それぞれ感覚が違うのでなんともいえませんが、画像の直リンとかは相手先のサーバに負荷がかかるのでやめましょう」

香陸の回答
「作品への直リンクに対する製作者さんの感じ方には個人差があります、リンクをトップページに張ってほしい場合は注意書きをしておくと良いと思います。ただ、原則としてリンクは自由になされるものなので、見落とされることもあると思います」


Q9.「作者に敬意を示すべきだ」

セミマルの回答
「あなたの望み通りに敬意を示してもらえると期待するのは、いささか難しいと思います。それと、リンクと敬意はまったく別問題です」

香陸の回答
「人を敬う気持ちというものは義務感から為されるものではないと思います。最低限の礼儀は通したほうが良いと思いますが、それは敬意とは異なるものです」


Q10.「コンテンツに直リンクされた場合、アクセスカウンターが回らない。そんなリンクは問題だ」

セミマルの回答
「コンテンツにもアクセスカウンターを設置していただければ幸いです」

セミマル
いまどき、こんなこと言う人はさすがに見かけない気が……。

香陸
Blog だと個別のエントリでもカウンタは同期しているしね。

セミマル
ホームページ時代の名残だろうか。

香陸の回答
「閲覧者がカウンタを回すためにサイトを訪れているわけではないように、カウンタを回すためにリンクを張らせることは理不尽に思います。リンクは、そのような観点からは問題にならないでしょう」


Q11.「コンテンツに直リンクされると、注意書きを読まないで閲覧者が入ってくることになる」

セミマル
こんなこと言ってる人、いまどきいるか~?

香陸
文芸サイトとかならいるのかも。

セミマルの回答
「注意書きというものはえてして読まれません。どうしてもというのであれば、注意書きのページからじゃないとそのページに飛べないように対処しましょう」

香陸の回答
「そのような閲覧者を想定してサイトを構築するのが望ましいと思います」


Q12.「自分のサイトで何を主張しようと自由だと思います」

セミマルの回答
「まぁ、そうですね」

香陸の回答
「異議なし」


Q13.「個人サイトは、その管理人の国です。管理人の法律には従いましょう」

セミマル
さすがにこの手の人は絶滅してない?

香陸
わからない、いるのかもしれない。

セミマル
以前、『ブリーチ』を描いている久保帯人とかがこんな感じのことを言ってた気はするが。

香陸
それすごいなあ。

セミマル
それ以外の事例を見た記憶がない。ちゆでネタにされてたよ。

  http://tiyu.to/permalink.cgi?file=news/01_07_23

香陸
おお。これならたぶん、まだ大勢いそうだ。

セミマル
いるのかな~。知らないだけか~。

セミマルの回答
「管理人の法律とやらに従う義務はないと思います」

香陸
強制力ないしね。

香陸の回答
「同様の類推で、個人サイトの管理人はWeb という世界の決まりに従いましょうという反論があり得るように思います」


Q14.「○○系のサイトは、○○系をよく知らない人間からすればキモイんです。○○系でないサイトから○○系のサイトにリンクするなんて、その管理人は自分のサイトのお客さんにキモイものを見せているんです」(○○には「同人」「芸能」といった言葉が入るようです)

セミマル
これまたよく分かんない主張だな。

香陸
捩れてるよね。

香陸の回答
「自分が嫌なら 『自分が嫌だから』 と主張するのが筋であって、相手のサイトの閲覧者が嫌がっているはずだからという想像で自分の言い分を主張するのはあまり望ましいものではないと思います」

セミマルの回答
「キモイものを見せているんです、なんて言わないでください。自分のやってることにもっと誇りを持ってください。それとこの件とリンクの話は別次元の問題だと思います」


Q15.「トップページ以外はアドレスが変わることがあるから、直リンクをしてはいけない」

セミマルの回答
「トップページもアドレスが変わることはあるので、それは理由にならないと思います」

香陸
そうだね。

セミマル
この直リンクって言葉と無断リンクって言葉を混同して使うのやめてほしいな。

香陸
埋め込みリンクと混ざるしね。

セミマル
すごくややこしくなる。

香陸
画像の直リンなんかは最近だと推奨しているところもあるよ。

セミマル
そうなの?

香陸
時期によってバナーを変えたりしたいからという理由でね。直リンにしておけば、そのアドレスの画像を変えることで、そのリンクを張っているサイトに表示される画像も一斉に変えられるでしょう。


Q16.「企業のサイトには確かに責任があり、無断リンクしても問題ない。しかし、個人のサイトにそんな責任はない」

セミマル
責任の有無と無断リンクの是非ってあんま関係ない気がするんだけど。

香陸
そうだね。

セミマル
まったく別問題だろ、コレ。

香陸
権利とか義務とか責任といった言葉が現れると、かなりそれらの言葉に振り回されてしまう傾向があるみたい。個人的には法律用語を駆使して議論する問題ではないと思うのだけれど。

香陸
いちおう、回答をお願いします

セミマルの回答
「責任の有無と無断リンクの是非は無関係かと思います。 関係性が認められると主張するのであれば、もう少し詳しく説明していただけると、とてもありがたいです」

香陸の回答
「企業や個人が自らの主張に関して負わなければならない責任と、無断リンクの是非とは、直接的な関わりはないように思います。また、個人サイトには一切の社会的な責任は課せられないのかというと、それは誤解であるように僕は思います」


Q17.「無断リンク・直リンクが嫌なら htaccess や CGI を使えと言うが、無料のサーバーでは使えないことがあるし、知識も必要だ。金と知識のある人間以外はウェブサイトを作るべきではないと言うのか」

セミマルの回答
「そんなこと言いません」

香陸の回答
「そうは言わないけれど、自分が理想とする環境を整えるために勉強することは非常に重要だと思います」


Q18.「○○系は危険を伴うジャンルであり、リンクされただけで閉鎖してしまうこともある。そういうデリケートなサイトにリンクする際には、管理人の指示に従うのが当然だ」(○○にあてはまるのは主に「芸能」で、時たま「同人」もこれに該当するようです。)

セミマルの回答
「リンクされただけで閉鎖されるデリケートなものは Web には向かないと思います。別の場で表現活動をすることをおすすめします」

香陸の回答
「管理人の意向に沿うようにリンクを張るのが望ましいことだとは思いますが、デリケートかどうかの判断はなかなか事前にできるものではありません」


Q19.「同人系のサイトでは無断リンク禁止/直リンク禁止を掲げるサイトが多く、それがそのジャンルのルールとなっている」

セミマルの回答
「誠に恐縮ながら、同人系サイトの常識を持ち合わせておりません。よければ、そのような主張を掲げる理由をお聞かせいただきたいです。単にみんながそうだから、という理由では承服致しかねます」

香陸の回答
「ローカルコミュニティのルールには最低限の注意は払ったほうが良いだろうと僕も思います。しかし、誰もが最初は門外漢です。自分とは異なるコミュニティに属していると思われる人と接する機会があるなら、その際には、そこでのルールを説明する必要があると思います」


Q20.「確かに、以前はリンクは自由でも良かったのかも知れません。しかし、今はそれを嫌う人も増えてきています。時代によってルールが変わっていくのは当然ではないでしょうか」

セミマルの回答
「時代によってルールが変わるという点については同意できますが、それと無断リンク禁止を是とすることはあまり関係がないように思います。そんなとってつけたような理由付けをするぐらいなら、単純になぜ無断リンクされるのがいやなのか主張したほうが、あなたの考えが伝わりやすいと思います」

香陸の回答
「僕もそう思います。しかし、ルールは変わったのではないと思っています。ウェブのルールとして、リンクはこれまでもこれからも自由になされるものだと思います。しかし、コミュニケーションのモラルとして、無断リンクに注意を払わなければならない時期にきているとは思います」


Q21.「ウェブサイトは家です。トップページ以外のページにリンクするなんて他人の家に裏口から入るようなもので、犯罪と変わりません」

セミマルの回答
「ウェブサイトが家であると思うかどうかは、個人の感覚なのでなんともいえませんが、犯罪と変わらないというのはいささか暴論だと思います。嫌がらせと変わらないぐらいにしてあげてください」

香陸の回答
「比喩を用いるのなら、ウェブサイトは家よりも本に近いように思います。そうであるとすると、本を表紙以外のところから読むことを僕は犯罪とは思いません」


Q22.「直リンクを本の途中を人に薦めることに例えていたが、推理小説の謎解き部分から読むよう友人に薦めたりしないだろう」

セミマル
この設問の前提となる本に例えていたというテキストはどこにあるんだろうか。

香陸
みあたらないね。

セミマル
困ったなー。前提が分からないと答えるの難しいぞ。

香陸
この設問は僕らには関係ないから、反故にしちゃおう。むしろ、謎解き部分だけ読むように薦めることもありうると思うし、作者の意図とは別に、本をどこから読もうとそれは読者の自由だよね。

セミマル
そだね。

香陸
いやあ、意外に長かった。

セミマル
いま気付いたんだけど、ここでの直リンクの意味が最後に載ってる。

香陸
なるほど、ディープリンクと同じか。埋め込みは違うと。

セミマル
みたいだね。直リンクっていうと画像直リンをどうしても思い浮かべちゃうなぁ。

香陸
そうだよね。

香陸
しかし、こうやって改めて読んでみると設問の悪さの目立つ問答集だった。

セミマル
うん、相当ひどいよね……。実際、こういうことを言ってた人がいたという意味では貴重な資料かも。

香陸
こういう議論にならないような煽り合いがされてきたという証拠でもあるね。

セミマル
そうだね。基本的に噛み合ってないし、相手の考えを聞く気もない。歩み寄る気はまったくないって状態だね。

香陸
そういういみでは、いまはリテラシがあがっていると言うことができるのじゃないかな。

セミマル
リテラシあがってるかな……。

香陸
微妙?

セミマル
無断リンクされたくない派は上がってるかも。

香陸
それはやはりリンクフリーという常識が浸透したからだろうかね。

セミマル
昔に比べれば浸透しているのかもね。あと、こっそりやりたきゃ、SNS があるという状況も非常に大きい。

香陸
そうだわ、オルタナティブがあるというのはでかい。

セミマル
昔は、こっそりやるためには htaccess やら CGI やら勉強しないといけなかったからねー。そりゃ、敷居高いよ。

香陸
と、安心したところで、実はミクシィにはいっても、必ずしもこっそりやれるわけではないっていうことが露呈してきたのが去年あたりからでしょうか。あくまでソーシャルであって、プライベートではないからね。

セミマル
公開レベルを友人までにするか全体にするかでも結構変わってくるよね。

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香陸
「無断リンク禁止が常識になったら困るから」といってリンクフリーを積極的に掲げる人もいるわけだけれど、それについてはどう考えてますか。

セミマル
その点については、相手が誰かによるところもあるかな。

香陸
というと?

セミマル
個人か否かという点は大きいんじゃないかと思う。参考になりそうな記事を貼るから、ちょっと待って。
「企業や官公庁などの団体のWebサイトにける無断リンク禁止条項の問題と、個人のWebサイトにおけるそれとは明確に区別することを踏まえないといけない」(http://takagi-hiromitsu.jp/diary/20061020.html#p01
香陸
そこか。

セミマル
うん。香陸さんはたぶん、相手が個人の場合を想定してるんじゃないかな?

香陸
そうだね、じゃあ、二部立てでいきましょう。


【公的機関による無断リンクの禁止について】

香陸
こちらは個人的な感想としては「ナンセンス」の一言に尽きてしまうのだけれど、たぶん、セミマルさんもそうなんじゃないかな。

セミマル
無断リンク禁止を掲げる公的機関ってアホだよねっていう意味でいいの?

香陸
そういうことです。

セミマル
んじゃ、自分もやっぱりナンセンスだよねって立場になるかな。

香陸
アホとまではいわないにしても、あまり現状の Web のあり方に則していないという感じかな。

セミマル
うん。でも、Web に慣れ親しんでない人にとっては、仕方のないことなのかもしれないね。自分たちの常識がまったく通用しないわけだし。

香陸
そこでまずはもっとも大きな枠組みの話からしたいと思うのだけれど、つまり、WWW のデザインということだけれど、これはもう明らかにリンクフリーが前提になっているといっていいわけでしょう。

セミマル
それはそうだね。

香陸
そもそも「リンクフリー」という語が奇妙な和製英単語であって、リンクが自由になされても良いか否かが問題になること自体がおかしいという話もあるよね。

セミマル
それも有名な話としてあるよね。

香陸
グーグルみたいな強力な検索エンジンがあると、大雑把な言い方になるけれど、WWW自体がひとつのデータベースという考え方もできてしまうわけで、実際、いま Web に親しんでいる人たちの発想というのは、ほぼ、そういうものじゃないかと思うのだよね。

セミマル
そうだね。少なくともヘビーユーザーはそういう考えだと思う。

香陸
そういう立場からすると、「ディープリンクはやめろ」といったような発想自体がナンセンスというのはすごいもっともだと思うよ。「ディープ」もなにも、トップページもディープページもほぼ等価という考えだね、そこにある階層性は非常に些細なものとして把握されてしまう。

セミマル
そうだね。無断リンクを禁止する人たちの側からすると、こちら側にいるわれわれの持っている感覚というか、前提知識みたいなものが共有できてないから「無断リンク禁止!」みたいな発想になっちゃうのかもね。

セミマル
このあたりは、教育やそれによるメディアリテラシーの向上とかの話が絡むだろうから、何年かしたら状況がだいぶ変わっているかもね。

香陸
変わると思うなあ。実際、近頃はそういうことを主張するサイトは少ないのじゃないかな?

セミマル
そうだね。だいぶ減ってはきてると思うな。

香陸
最近だと愛知万博あたり?

セミマル
一番印象に残ってるのは、愛知万博だね。

香陸
冒頭でセミマルさんに指摘されたとおり、僕の意識としては、そういう原則的な側面の問題はそれほど神経質にはなっていないし、どちらかというと楽観的です。 つまり、たとえ有害と思われるサイトからリンクを張られるのであっても、原則としてリンクというのは自由にされて良い、という発想は常識になるだろうと思っています。

香陸
僕が問題に思うのは(いままでにも何度か言っているけれど)、そういう技術的な水準で解消できる無断リンク問題ではなくて、ローカルコミュニティや個人サイト間での無断リンクをどう扱うかということです。いわゆる、「儀礼的無関心」と呼ばれる事柄に関わる領域にあるものになります。

セミマル
おk。んじゃ、第二部いってみようか。


【個人サイト間における無断リンクについて】

香陸
僕の見解としては、いまや無断リンク問題は二水準に分かれていて、その一方が「原則的水準の無断リンク問題」です。

香陸
これは、もし無断にリンクされるのが困るのであれば、例えば、登録制や会員制にするというような具合に、技術的な対策によって問題を解消するのが無難だと思うわけです。つまり、こちらがここまでの話題にあたるものです。

セミマル
もう一方は?

香陸
もう一方が「コミュニケーション水準における無断リンク問題」です。つまり、個人サイトやローカルルールの存在するローカルコミュニティに向けても、断固としたリンクフリーを主張するのはいかがなものか、という問題提起になります。

香陸
2ch でさえ、「半年ROMれ」や「空気嫁」という台詞に代表されるように、その場の非明示的なルールを把握しなければならない、するのが好ましいという暗黙の了解があるわけだけれど、それなら、あるサイトからほかのサイトにリンクを張るという行為に対しても、そういう空気を読む能力を求めることは、それほど変なことではないのではないかと思うわけです。はたして、非制限的な「リンクフリー」はどれだけ強固な正義なのかということです。

セミマル
絶対的正義ではないだろうね。

香陸
ひとまず、セミマルさんがリンクを張るときに注意していることのようなものがあれば教えて下さい。

セミマル
ぁゃιぃ(*゚ー゚)NEWS では、個人を晒し上げるとかはしないぐらいかな。あと、明確なリンクを拒絶する文言があると認識すれば、リンクしない。見逃してることも多々ありそうだけど。

香陸
そこのところで意見が分かれることもあると思うのだけれど。

セミマル
うん。

香陸
例えば、リンクを拒絶している人に対して「どうしてリンクを拒絶する!」と憤る人もいるでしょう?

セミマル
いるね。

香陸
この行き違いはどう見てます? そもそも、こういう行き違いが発生するということが面白いとも思うのだけれど。

セミマル
よくあるコミュニケーションの齟齬じゃないの? お互いの前提としているモノにズレがある。

香陸
その前提というのは具体的にいうとどういうもの?

セミマル
リンクをされる側は、リンクを拒絶する文言をリンクする人全員が読んでると思っているけれど、そんなことは全然なくて、自分のスタンスを知られずにリンクされてしまうということが多々あるんじゃないかと思う。たまに知った上であえてリンクする人もいるけど(笑)。そして、リンクをする側は、自分が紹介したいサイトをリンクできないのが悔しいから憤る。

香陸
なるほど。わりと性善説的な見方をしているんじゃないか(笑)。じゃあ、僕もちょっと、さっきの分類をもとに説明してみたいのだけれど。

セミマル
うん。

香陸
リンクを拒絶する人と、リンクを強行する人の前提の違いというのは、Web を「コミュニケーションの空間」としてみているか「データベース的な空間」としてみているかの差異かなと思うわけです。

セミマル
なるほど。

香陸
リンクを強行する人の側からしてみると、技術的にも法的にもなんらリンクを束縛するものはないわけで、はっきり言えば「文句を言われる筋合いはない」と思っていると思うのだけれど、

香陸
そして、実際、それはある立場からすると正しいのだけれど(つまり、別に「悪いこと」ではないのだからやっても良いだろうという具合)、ただ、Web や個人サイトが、人と人とのコミュニケーションの空間であり、場であると考える人にとっては、それは「悪い行為」ではなかったり「間違っている行為」ではないとしても、「迷惑な行為」ではあるのだと思うのです。

香陸
こういう前提の違いがおおまかに言えるのじゃないかなと。

セミマル
そうだね。なんだか SNS についても、関係しそうな感じだね。

香陸
うん、繋がっていると思う。

香陸
それで、僕の見解としては、Web はもうコミュニケーションの空間としての側面が非常に強くなっているのではないかなと思っていて、大体、2003年の終わりから2004年の始まりにかけてが、その意識的な転換期にあたるのじゃないかなと僕は考えています。

セミマル
ふむふむ。

香陸
だからね、僕としては「無断リンク禁止」までいかない「無断リンク拒否」程度の立場は積極的に擁護したいなと思っているのさ。

セミマル
そうだね。無断リンクお断りと書いたぐらいで晒し上げられて、笑いものにされるというのは、やっぱちょっと異常だよね。


【コミュニケーションという観点から無断リンク論を再構成する】

香陸
それじゃあ、ここからはちょっと想定問答集を叩き台にして話をしたいと思うのだけれど。

セミマル
うん。

「無断リンク禁止/直リンク禁止」命令に関する想定問答集
http://park5.wakwak.com/~tanaka02b/column/faq.htm

香陸
ここを参照する人はわりといるだろうし、これを読むと無断リンク論争のおおまかな話の枠組みと雰囲気はわかるでしょう。

セミマル
そうだね。

香陸
そういった点でこのまとめは便利だと思うのだけれど、ただ、個人的に「これはやはりリンクフリー者が書いたのだな」と思う項目もあって、

香陸
それがたとえば、「Q.6 私は知らないところからリンクされたくないんです。それなのに、リンクしてくる人がいるんです。これってひどい嫌がらせだと思います」 だったりするのだけれど、これの回答なんかはちょっと理不尽だなと僕なんかは思うわけです。

セミマル
この項目は自分も引っかかった。

香陸
僕はこれ、正直「それはたしかに嫌がらせだな」と思うのだけれど、セミマルさんはどう?

セミマル
知っててやるか、知らずにやるかでかなり見方が変わる話かもしれない。知っててやってりゃ、どう考えても嫌がらせでしょ。そこに適当な理屈こねて、自分を正当化してるだけにしか見えん。

香陸
そこをそう思わない人もいると思うのさ。

セミマル
そうなんだよね。アレはなんなんだろうか。

香陸
僕としては「原則的には正しいかもしれないけれど、コミュニケーション的には適切でないこともある」と言いたいところなのだけれど、この見解は変に聞こえない?

セミマル
いや、おかしくはないと思う。

香陸
よかった。

セミマル
このあたりは倫理観の問題になってくるから。

香陸
そこで議論になるとすると、「しかし、リンクを張るという行為はコミュニケーションなのか」ということになると思うのだけれど、セミマルさんはどう思う?

セミマル
ごめん、もうちょっと噛み砕いて。質問の意図がよく分からん(笑)。

香陸
まず、個人サイトを書いていて、あまりリンクを張ってほしいと思っていない人がいるとしましょう。そこに、そのサイトにリンクを張りたい人が現れたとすると。

セミマル
うんうん。

香陸
このとき、普遍的にではないけれども、そこそこ公共的に「リンクを拒絶しているサイトに無断でリンクを張るという行為は、原則的に不正ではないから認められるけれど、コミュニケーション的に適切ではないから望ましいものではない」と言うことができるとしましょう。

香陸
そこで、それを根拠に「コミュニケーション的に不適切なのだから、無断リンクは認めないことにしましょう」と主張する人が現れるとすると。ここには 論理的な飛躍がある けれど、主張している人はあまり気にしていないとします。

香陸
この場合、そう主張している人に対して、「だけど、単にサイトにリンクを張るだけなのだから、そこでコミュニケーション的に不適切とか言われても困る。別にあなた自身に干渉するわけではないのだから良いでしょう」と言う人もいるかもしれない。

香陸
つまり、「リンクを張るという行為は、まだなんらコミュニケーションではない」という反論だね。したがって、「無断リンクは『原則的に正しい』し『コミュニケーション的に不適切という批判にも晒されない』から『無断リンクは認められる』」と言われてしまう可能性がある。

セミマル
あぁ、なるほど。そういう人たちは、リンクは単なる参照なんだからいいだろうと言ったりするよね。

香陸
そう、Web サイトを脱人格したものとしてみていて、情報だけを参照しているというような場合。個人ニュースサイトの管理人もわりとそういう傾向はあるかなと思うのだけれど。

セミマル
そういう場合だと、リンクするほうはちょっと大人気ないかなぁ、と思う。

香陸
難しいよね。一方は、リンクするという行為をコミュニケーションの起点として把握していて、他方は、リンクするという行為を単なる情報の参照として把握しているという行き違いがある。これをどう埋めるか、ないし、このリンクを張るという行為の二面性をどう受けとめるか。

セミマル
これはリンクされる側のページが、赤の他人が見た場合にどの程度価値があるか、あるいは、公共性があるかということでも変わってくるかもしれないね。

香陸
ふむふむ、公的/私的という区分けに基いて話を進めてみるのは面白いかもしれない。それらをはっきり分けることができないというのが Web の特徴であって、いろいろな問題を生じるもとだったりするしね。

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香陸
それじゃあ、ちょっと想定問答集を叩き台に話をしたいと思うのだけれど。

セミマル
うん。

「無断リンク禁止/直リンク禁止」命令に関する想定問答集
http://park5.wakwak.com/~tanaka02b/column/faq.htm

香陸
ここを参照する人はわりといるだろうし、これを読むと無断リンク論争のおおまかな話の枠組みと雰囲気はわかるでしょう。

セミマル
そうだね。

香陸
そういった点でこのまとめは便利だと思うのだけれど、ただ、個人的に「これはやはりリンクフリー者が書いたのだな」と思う項目もあって、

香陸
それがたとえば、「Q.6 私は知らないところからリンクされたくないんです。それなのに、リンクしてくる人がいるんです。これってひどい嫌がらせだと思います」 だったりするのだけれど、これの回答なんかはちょっと理不尽だなと僕なんかは思うわけです。

セミマル
この項目は自分も引っかかった。

香陸
僕はこれ、正直「それはたしかに嫌がらせだな」と思うのだけれど、セミマルさんはどう?

セミマル
知っててやるか、知らずにやるかでかなり見方が変わる話かもしれない。知っててやってりゃ、どう考えても嫌がらせでしょ。そこに適当な理屈こねて、自分を正当化してるだけにしか見えん。

香陸
そこをそう思わない人もいると思うのさ。

セミマル
そうなんだよね。アレはなんなんだろうか。

香陸
僕としては「原則的には正しいかもしれないけれど、コミュニケーション的には適切でないこともある」と言いたいところなのだけれど、この見解は変に聞こえない?

セミマル
いや、おかしくはないと思う。

香陸
よかった。

セミマル
このあたりは倫理観の問題になってくるから。

香陸
そこで議論になるとすると、「しかし、リンクを張るという行為はコミュニケーションなのか」ということになると思うのだけれど、セミマルさんはどう思う?

セミマル
ごめん、もうちょっと噛み砕いて。質問の意図がよく分からん(笑)。

香陸
まず、個人サイトを書いていて、あまりリンクを張ってほしいと思っていない人がいるとしましょう。そこに、そのサイトにリンクを張りたい人が現れたとすると。

セミマル
うんうん。

香陸
このとき、普遍的にではないけれども、そこそこ公共的に「リンクを拒絶しているサイトに無断でリンクを張るという行為は、原則的に不正ではないから認められるけれど、コミュニケーション的に適切ではないから望ましいものではない」と言うことができるとしましょう。

香陸
そこで、それを根拠に「コミュニケーション的に不適切なのだから、無断リンクは認めないことにしましょう」と主張する人が現れるとすると。ここには 論理的な飛躍がある けれど、主張している人はあまり気にしていないとします。

香陸
この場合、そう主張している人に対して、「だけど、単にサイトにリンクを張るだけなのだから、そこでコミュニケーション的に不適切とか言われても困る。別にあなた自身に干渉するわけではないのだから良いでしょう」と言う人もいるかもしれない。

香陸
つまり、「リンクを張るという行為は、まだなんらコミュニケーションではない」という反論だね。したがって、「無断リンクは『原則的に正しい』し『コミュニケーション的に不適切という批判にも晒されない』から『無断リンクは認められる』」と言われてしまう可能性がある。

セミマル
あぁ、なるほど。そういう人たちは、リンクは単なる参照なんだからいいだろうと言ったりするよね。

香陸
そう、Web サイトを脱人格したものとしてみていて、情報だけを参照しているというような場合。個人ニュースサイトの管理人もわりとそういう傾向はあるかなと思うのだけれど。

セミマル
そういう場合だと、リンクするほうはちょっと大人気ないかなぁ、と思う。

香陸
難しいよね。一方は、リンクするという行為をコミュニケーションの起点として把握していて、他方は、リンクするという行為を単なる情報の参照として把握しているという行き違いがある。これをどう埋めるか、ないし、このリンクを張るという行為の二面性をどう受けとめるか。

セミマル
これはリンクされる側のページが、赤の他人が見た場合にどの程度価値があるか、あるいは、公共性があるかということでも変わってくるかもしれないね。

香陸
ふむふむ、公的/私的という区分けに基いて話を進めてみるのは面白いかもしれない。それらをはっきり分けることができないというのが Web の特徴であって、いろいろな問題を生じるもとだったりするしね。

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香陸
僕の見解としては、いまや無断リンク問題は二水準に分かれていて、その一方が「原則的水準の無断リンク問題」です。

香陸
これは、もし無断にリンクされるのが困るのであれば、例えば、登録制や会員制にするというような具合に、技術的な対策によって問題を解消するのが無難だと思うわけです。つまり、こちらがここまでの話題にあたるものです。

セミマル
もう一方は?

香陸
もう一方が「コミュニケーション水準における無断リンク問題」です。つまり、個人サイトやローカルルールの存在するローカルコミュニティに向けても、断固としたリンクフリーを主張するのはいかがなものか、という問題提起になります。

香陸
2ch でさえ、「半年ROMれ」や「空気嫁」という台詞に代表されるように、その場の非明示的なルールを把握しなければならない、するのが好ましいという暗黙の了解があるわけだけれど、それなら、あるサイトからほかのサイトにリンクを張るという行為に対しても、そういう空気を読む能力を求めることは、それほど変なことではないのではないかと思うわけです。はたして、非制限的な「リンクフリー」はどれだけ強固な正義なのかということです。

セミマル
絶対的正義ではないだろうね。

香陸
ひとまず、セミマルさんのリンクを張るときに注意していることのようなものがあれば教えて下さい。

セミマル
ぁゃιぃ(*゚ー゚)NEWS では、個人を晒し上げるとかはしないぐらいかな。あと、明確なリンクを拒絶する文言があると認識すれば、リンクしない。見逃してることも多々ありそうだけど。

香陸
そこのところで意見が分かれることもあると思うのだけれど。

セミマル
うん。

香陸
例えば、リンクを拒絶している人に対して「どうしてリンクを拒絶する!」と憤る人もいるでしょう?

セミマル
いるね。

香陸
この行き違いはどう見てます? そもそも、こういう行き違いが発生するということが面白いとも思うのだけれど。

セミマル
よくあるコミュニケーションの齟齬じゃないの? お互いの前提としているモノにズレがある。

香陸
その前提というのは具体的にいうとどういうもの?

セミマル
リンクをされる側は、リンクを拒絶する文言をリンクする人全員が読んでると思っているけれど、そんなことは全然なくて、自分のスタンスを知られずにリンクされてしまうということが多々あるんじゃないかと思う。たまに知った上であえてリンクする人もいるけど(笑)。そして、リンクをする側は、自分が紹介したいサイトをリンクできないのが悔しいから憤る。

香陸
なるほど。わりと性善説的な見方をしているんじゃないか(笑)。じゃあ、僕もちょっと、さっきの分類をもとに説明してみたいのだけれど。

セミマル
うん。

香陸
リンクを拒絶する人と、リンクを強行する人の前提の違いというのは、Web を「コミュニケーションの空間」としてみているか「データベース的な空間」としてみているかの差異かなと思うわけです。

セミマル
なるほど。

香陸
リンクを強行する人の側からしてみると、技術的にも法的にもなんらリンクを束縛するものはないわけで、はっきり言えば「文句を言われる筋合いはない」と思っていると思うのだけれど、

香陸
そして、実際、それはある立場からすると正しいのだけれど(つまり、別に「悪いこと」ではないのだからやっても良いだろうという具合)、ただ、Web や個人サイトが、人と人とのコミュニケーションの空間であり、場であると考える人にとっては、それは「悪い行為」ではなかったり「間違っている行為」ではないとしても、「迷惑な行為」ではあるのだと思うのです。

香陸
こういう前提の違いがおおまかに言えるのじゃないかなと。

セミマル
そうだね。なんだか SNS についても、関係しそうな感じだね。

香陸
うん、繋がっていると思う。

香陸
それで、僕の見解としては、Web はもうコミュニケーションの空間としての側面が非常に強くなっているのではないかなと思っていて、大体、2003年の終わりから2004年の始まりにかけてが、その意識的な転換期にあたるのじゃないかなと僕は考えています。

セミマル
ふむふむ。

香陸
だからね、僕としては「無断リンク禁止」までいかない「無断リンク拒否」程度の立場は積極的に擁護したいなと思っているのさ。

セミマル
そうだね。無断リンクお断りと書いたぐらいで晒し上げられて、笑いものにされるというのは、やっぱちょっと異常だよね。

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香陸
「無断リンク禁止が常識になったら困るから」といってリンクフリーを積極的に掲げる人もいるわけだけれど、それについてはどう考えてますか。

セミマル
その点については、相手が誰かによるところもあるかな。

香陸
というと?

セミマル
個人か否かという点は大きいんじゃないかと思う。参考になりそうな記事を貼るから、ちょっと待って。
「企業や官公庁などの団体のWebサイトにける無断リンク禁止条項の問題と、個人のWebサイトにおけるそれとは明確に区別することを踏まえないといけない」(http://takagi-hiromitsu.jp/diary/20061020.html#p01
香陸
そこか。

セミマル
うん。香陸さんはたぶん、相手が個人の場合を想定してるんじゃないかな?

香陸
そうだね、じゃあ、二部立てでいきましょう。


【公的機関による無断リンクの禁止について】

香陸
こちらは個人的な感想としては「ナンセンス」の一言に尽きてしまうのだけれど、たぶん、セミマルさんもそうなんじゃないかな。

セミマル
無断リンク禁止を掲げる公的機関ってアホだよねっていう意味でいいの?

香陸
そういうことです。

セミマル
んじゃ、自分もやっぱりナンセンスだよねって立場になるかな。

香陸
アホとまではいわないにしても、あまり現状の Web のあり方に則していないという感じかな。

セミマル
うん。でも、Web に慣れ親しんでない人にとっては、仕方のないことなのかもしれないね。自分たちの常識がまったく通用しないわけだし。

香陸
そこでまずはもっとも大きな枠組みの話からしたいと思うのだけれど、つまり、WWW のデザインということだけれど、これはもう明らかにリンクフリーが前提になっているといっていいわけでしょう。

セミマル
それはそうだね。

香陸
そもそも「リンクフリー」という語が奇妙な和製英単語であって、リンクが自由になされても良いか否かが問題になること自体がおかしいという話もあるよね。

セミマル
それも有名な話としてあるよね。

香陸
グーグルみたいな強力な検索エンジンがあると、大雑把な言い方になるけれど、WWW自体がひとつのデータベースという考え方もできてしまうわけで、実際、いま Web に親しんでいる人たちの発想というのは、ほぼ、そういうものじゃないかと思うのだよね。

セミマル
そうだね。少なくともヘビーユーザーはそういう考えだと思う。

香陸
そういう立場からすると、「ディープリンクはやめろ」といったような発想自体がナンセンスというのはすごいもっともだと思うよ。「ディープ」もなにも、トップページもディープページもほぼ等価という考えだね、そこにある階層性は非常に些細なものとして把握されてしまう。

セミマル
そうだね。無断リンクを禁止する人たちの側からすると、こちら側にいるわれわれの持っている感覚というか、前提知識みたいなものが共有できてないから「無断リンク禁止!」みたいな発想になっちゃうのかもね。

セミマル
このあたりは、教育やそれによるメディアリテラシーの向上とかの話が絡むだろうから、何年かしたら状況がだいぶ変わっているかもね。

香陸
変わると思うなあ。実際、近頃はそういうことを主張するサイトは少ないのじゃないかな?

セミマル
そうだね。だいぶ減ってはきてると思うな。

香陸
最近だと愛知万博あたり?

セミマル
一番印象に残ってるのは、愛知万博だね。

香陸
冒頭でセミマルさんに指摘されたとおり、僕の意識としては、そういう原則的な側面の問題はそれほど神経質にはなっていないし、どちらかというと楽観的です。 つまり、たとえ有害と思われるサイトからリンクを張られるのであっても、原則としてリンクというのは自由にされて良い、という発想は常識になるだろうと思っています。

香陸
僕が問題に思うのは(いままでにも何度か言っているけれど)、そういう技術的な水準で解消できる無断リンク問題ではなくて、ローカルコミュニティや個人サイト間での無断リンクをどう扱うかということです。いわゆる、「儀礼的無関心」と呼ばれる事柄に関わる領域にあるものになります。

セミマル
おk。んじゃ、第二部いってみようか。

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井戸チャ通信(01) 「個人サイトが取り上げるネタのループ」
井戸チャ通信(02) 「ネタの再掲にみる小太郎さん」
井戸チャ通信(03) 「ウェブにおける議論のループ」
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香陸
こちらです。

セミマル
了解。

香陸
例えば、あとで話そうと思っている「無断リンク問題・リンクフリー論争」などが最たるものですよ。定期的に話題になっては議論らしきものがやり取りされて忘れ去られるという、この循環について、セミマルさんの立場はどう?

セミマル
「議論のループ」については、消極的肯定派かな。

香陸
具体的にはどういう立場になるのだろう。

セミマル
特別、自分からアクションを起こすことはしないけども、他の人がやるのは全然OKだし、むしろ楽しんで読んじゃう。わりと受身な立場かな。

香陸
その立場は僕としては否定派に数えたいのだけど、それだと不満? その場合、自分は議論に参加するわけではないのだから「ループはしていない」と思うのだけれど。

セミマル
どうなんだろう。確かに自分自身の考えがループしているとは言わないかもしれないなあ。

香陸
ここ、ややこしいところなので、少し根本的なところから考えてみたいと思うのだけれど。

セミマル
うん。

香陸
そもそも「本当に議論はループしているのか」ということと、いったい「どこで議論はループしているのか」ということです。

セミマル
「同じ話題がWebで繰り返し行われている=議論はループしている」というのが自分の感覚。

香陸
そうそう、そういう風に思う人が多いと思うのだけれど、それは大掴みすぎるのではないかなと僕は思っていて、むしろ、それを感じることのできる人がどれだけいるのか、ということに注意したほうが良いのではないかなと思う。

香陸
三年位前かな、これは「ネタの流れ」というテーマのときにも似たようなことを言っているのだけれど。

セミマル
そんなんあったっけ?

香陸
いちおう参考にリンク張ります。

   http://kourick.exblog.jp/7739612/

セミマル
うお、懐かしいなー。

香陸
それで、この「ネタの流れ」という話も、そもそもその「流れ」を感じることができる人はそれほどいないのではないかという話で、これはそのまま「議論のループ」に関してもいえるのではないかなと。つまり、そもそも「議論のループ」を観察できてしまうような人からして少ないのではないかと思う。

セミマル
そうかもしれないね。無断リンクの話題なんかもそうだけど、こんなことに継続的に興味を持ってる人なんて、間違いなくマイノリティだよね。

香陸
そういうところあるよね。もともとサイト論って目線が一段上がってやるものだけれど、そういうメタ目線のリテラシをみんなが共有している(と思い込む)というのは奇妙なことではないかなと、少し話題から逸れているかもしれないけれど、思ったよ。

セミマル
類は友を呼ぶからねー。どうしてもそうなっちゃうのかも。Webだとどんなにマイノリティでも、仲間が見つかっちゃうし。

香陸
さっきのセミマルさんの「同じ話題がWebで繰り返し行われている=議論はループしている」という発想についても、少し考えたいのだけれど

セミマル
うん。

香陸
僕は もう議論領域に<ウェブ全体>を取るような議論というのは成立しないのではないか ということをけっこう前から言っていて、「Webで繰り返し行われている」というのは間違ってはいないけれども、精度の低い観察ではないかと思うのだよね。

セミマル
ふむふむ。

香陸
Webではたしかに「繰り返し」行われているかもしれないけれど、行っている人は普通「毎回、違う」わけでしょう。

セミマル
そうだね。少なくとも起点になる人は毎回違うね。

香陸
ちょっと嫌味な言い方になるけれど、そこをすでに議論をして自分なりの見解を持っている人が「わざわざループさせにいっている」のじゃないかという、そういう見方ってできるのじゃないかなと思うわけです。

香陸
「また、この話題か」と言いながら嬉々として語る人がいるから、議論が「ループしている」という観察が成立するのであって、正確に言うと「ループしていると言いたい人がループさせにいっている」のではないかと。

セミマル
そういうところはあるだろうね。自分の考えと異なる人が出てくると、毎回それをどこかから嗅ぎつけて、頼まれてもないのに持論を展開する人いるし。

香陸
そう、そういう行為を是とするか非とするかというところの見解の違いってあるなと思う。ちなみに僕はどちらかというと非なのだけれど。

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香陸
ネタの再掲に関してね、僕はホント偉いなあと思うサイト管理人に「小太郎ぶろぐ」の小太郎さんがいるのだけれど。

セミマル
わかるわかる。

香陸
小太郎さんは「既出だけど、どうぞ」みたいな素振りをあまり見せずに、まるで「おいらも初めて見たよ、面白いよね」みたいな感じで紹介するでしょう?

セミマル
あぁ、たしかに言われてみるとそうかもしれない。

香陸
あのあたりがサイトを続けていて、閲覧者から愛されている理由のひとつなのかなと思うよ。小太郎さんの人柄による部分というかね。新しい閲覧者の受け容れ態勢というのがしっかりできているのだと思う。

セミマル
なるほど。
やっぱ、再掲だと「再掲」って書きたくなっちゃうな、自分の場合(笑)。

香陸
そうそう、なんだかんだで「再掲」とか書いちゃう(笑)。

セミマル
別にイヤミで書いてるわけじゃないんだけど、無意識的に「オレはこんなん知ってるぜ」っていう気持ちもあるのかも。

香陸
必ずしもイヤミになるわけでもないと思うのだけれど、自分はもう、このネタ知っているけどね、みたいな感じになりがちだと思うのさ。

セミマル
そうそう。

香陸
僕もそういうのはどうしてもあるから、その気持ちを表にみせないというのはすごいなと感心するのだよね。しかも、それを閲覧者のほうもわかっていて、新参が「既出」とかいって煽ると、古参が小太郎さんを擁護するの(笑)。
       
セミマル
なんというありがちな展開。

香陸
それで閲覧者同士がコメント欄で煽りあっていたりして、これはすごいなと。
やはり、ここまでこないと大手じゃないなと僕は感嘆した。

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